化粧品業界にはどんな種類の会社があるのか
化粧品に関わる企業はたくさんあります。
どのような企業が関わって製品が生み出されるのか分かりやすく説明します。
まずは製品ができるまでの簡単な流れを説明をしておきましょう。
①商品の企画 提案
②研究開発:処方設計 原料の開発・選定 容器・包装資材の選定
→評価(有用性・安全性・安定性)
③法規に基づいた表示・広告の設定
④品質管理(製品の規格を設定し試験を実施) → 出荷の可否判定
⑤広告、宣伝
⑥市場に出荷 販売
簡単に各工程を抽出しましたが、これからご紹介する各業者さんの違いは
どの範囲を受け持っているかを見ると理解しやすいと思います。
それではご紹介します。
化粧品製造業者(メーカー・工場)
製剤を加工して生産することができる工場を有する企業です。
化粧品製造業許可を取得している企業と化粧品製造販売業の許可を取得している会社があり
工場を持つ企業はほとんどが両方を持っていると思います。(生産も販売もできる認可を受けている)
ここで業許可の話が出ましたが、それは別の投稿で詳しく説明したいと思います。
次に化粧品メーカーは本舗とOEM企業の2種類に分類されます。
この違いは一般の人にはあまり知られていないのではないでしょうか。
業界を知るうえで結構ポイントになりますのでおさえておきましょう。
本舗とは
商品を一貫してプロデュースする企業を我々は「本舗さん」と称します。
先に説明した参考記事の工程をすべて実施するスタンスをメインとする企業で、
資生堂や花王など皆さんが知る大手のメーカーは本舗に該当します。
OEM企業と違い、一つの製品に対して数年単位の時間と多くの人員をさいて
念入りに組み上げていく性質があります。
自社開発原料など独自の技術で差別化した商品を作ったりします。
開発した製品は大量に生産をして、莫大な広告費を投入し市場に出します。
OEMメーカーとは
化粧品の開発や製造を受託する企業です。
企画会社や販社から「こんな商品を作りたい」という依頼を受け、
その要望に応じた商品を企画・設計し、商品化して取引先に卸します。
(私はこのOEMの業種に所属しております。)
様々な性質の顧客から依頼があり案件数・種類が多く業務の流れも非常に速いです。
本舗と違い製品化するまでが速く、多くは数か月で決まってしまいます。
小ロットでの受注に対応できる強みがあります。
OEM企業の規模も様々ですが、小さい会社であれば100個単位の受注も可能で、
多品種少量で回していくスタンスの企業が多いのではないかと思われます。
企画会社・販売会社
製品を企画しOEM企業に開発と生産を委託します。
仕入れた商品を販社に卸したり直接販売したりする会社です。
製造販売元から出荷された製品を流すだけなので業の許可はいりません。
比較的参入しやすい事業になるかと思いますが企業レベルが様々です。
個人でやっているような会社もまれではありません。
流通に特化しており、技術や法規に関する見識が十分でない取引先が多いように感じます。
そのような取引先はOEM業者の各部門がフォローするケースが多いです。
販社でも製造販売業の許可を取得して自社の社名をブランディングするケースもあります。
原料メーカー・ディーラー
化粧品を構成する原料を取り扱う企業です。
原料を企画・開発し製造販売しますが、様々なメーカーの原料を取り扱い本舗やOEM会社に提案して
販売するディーラー(商社・代理店)企業があります。
例えば有名な成分の「ヒアルロン酸」の原料ですが、マヨネーズやドレッシングで有名なキューピーが
製造販売しているものがあります。
味の素はアミノ酸に強い会社なのでその技術を化粧品にも応用しており、化粧品に配合されるアミノ酸原料や
シャンプーでよく話題になるアミノ酸系界面活性剤といった原料を製造販売しています。
大きな企業は代理店を仲介して各メーカーに原料を販売しているケースが主となります。
原料についてもさらに踏み込んだ話を今後していきたいと思っています。
まとめ
化粧品に関わる企業は製造会社と販売会社、原料の製造会社や代理店に分けることができる。
それぞれ大小さまざまな規模があります。
資生堂などの知名度の高い企業は「本舗」と呼ばれ、基本的にすべて自社で完結するスタンスを持っている。
OEMは販社などの依頼をうけ開発や製造を請け負い、多品種少量の製品を取り扱う性質をもつ。
企画・販売会社のレベルは様々あり、OEMに依存することで比較的参入しやすい。
製品によっては数年かけて作りこまれたものや数か月程度で設計されたものなど様々。
食品の大手企業なども化粧品の原料を作っていたりする。
考察
以上のような説明をみますと、本舗の製品であればクオリティーが高いと思われるかもしれません。
確かに比較的安心して選べるかもしれませんよね。
しかし、その基準だけで商品を選ぶというのも面白くないのではないでしょうか。
OEMの立場から主張させていただくと、我々の優位な点は自由度が高いところだと思ってます。
様々な企画会社があるわけで、持ってくる話も変な話やら面白い話やら・・・・・
本舗であれば検討の余地もないような企画も進められるのが私たちの強みです。
本舗の案件はお金も時間も大きくかけて進めるので失敗すると損害が大きくどうしても保守的。
一方で突飛な案件もユーザーの求める商品になりうる可能性を秘めているわけです。
実際に小さな会社の企画が売れて発展し、本舗が追従するケースもあります。
「ボタニスト」っていうシャンプーやら「スカルプD」はそうなんじゃないかな。
私もこれまでに100品目以上の商品を世に生み出してきて、
中には評判がよくたくさん買ってもらったモノもいくつかありました。
本当にありがとうございます!!
一定の水準を満たした製品は、決して本舗製品のクオリティーに引けを取ることはありません。
化粧品は自分との相性で決めるものなのでメーカーやブランドだけで決めるのは
あえて選択肢を少なくしているように感じます。
視野を広げることでより良い商品と出会えるかもしれませんよ。
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