ジェル系化粧品の増粘剤 カルボマーについて

今回は化粧品原料の中でも今一番使用されている成分

カルボマーについて語ります。

カルボマーはアクリル系高分子に属し、種類がいくつかありますが、

その中でも最も有名でよく使われる成分がカルボマーになります。

詳しく見てみましょう。

カルボキシビニルポリマージェルの画像

ジェル系の化粧品で汎用の増粘剤

オールインワンジェルやジェルクリーム、さらに最近お声がかかりすぎている

アルコールジェルの処方にも使われている成分です。

特長として、水っぽくさっぱりとした使用感であることが言えると思います。

見た目はぷるっとしたコシあるジェルなのに、塗布すると化粧水のようにサラリと伸びて

適度にさっぱりとした使用感が得られますよね。

ジェルの処方は簡単なので、経験や深い知識が無い人でもある程度の設計が組めると思います。

少し応用した処方では、ジェルなのに塗ると油みたいなのが出てくる転送タイプのクレンジングジェルや、

塗ってボロボロとカスが出てくる角質ジェルが思いつきます。

また、固めのジェルに非イオンの活性剤なんかを組み合わせたクレンジングジェルもありますが、

安定性とか難しく、洗浄力もなかなか出せないので私は好きではありません。

カルボマーの特徴

増粘剤には他にもキサンタンガムなどの植物性のものがあり、

アクリル系に続いてローションなどで汎用されますが、

カルボマーには少しの量で高い粘度を出すことができるという大きな特徴があります。

例を挙げると、容器を傾けても流れないぐらいの固さのジェルを作りたい場合、

キサンタンガム等を使用すると、だいたい2~3%の量が必要です。

しかし、カルボマーですと、0.3~0.5%もあれば十分粘度が得られます。

植物系の増粘剤はゼリーやカンテンと同じ感じで、水に溶かすだけで固くなります。

一方、カルボマーは少し増粘のシステムが違いまして、

カルボマーは水にある程度分散した後、アルカリで中和することで電気的な反発をして構造が膨らむことで

粘度が得られるのです。

ちょっと分かりにくいですね。。。

イメージで言うと、1枚のティッシュペーパーを何度も限りなく折りたたんで小さくしたもの。

これがカルボナーの紛体粒子です。、

水に入れると粒子は給水して少し膨らみます。これを一時膨潤といいます。

次に水酸化カリウムなどのアルカリを加えて中和すると、電気的な反発が生じ、

クシャってたティッシュペーパーが開いて広がります。二次膨潤です。

広がった立体構造の分子がそれぞれ反発し合っている状態で粘度が出るわけです。

同じゼリーでも、キサンタンですと塗ったらベトベトで、さらに乾いたらパックのような皮膜ができます。

しかしカルボマーの場合、配合量がケタ違いに少ないので、テクシャーに影響を及ぼすことが無く、

水を塗っているかのようにさっぱりとみずみずしい使用感が得られるわけです。

相性の悪い原料が多くて展開が難しい

カルボマーは低濃度で簡単にジェルを作ることができるのですが、

他の原料との相性をすごく選ぶんです。

中和することで電気的な反発が起こり増粘する性質なので、

pHの変化や塩分濃度、イオン性原料が入ると粘度が急激に落ちます

美容エキスなんかは結構いろんな成分が入っていたして、ジェルにたくさん入れられないことがあります。

加水分解系のたんぱく質も、イオン性がありましてたくさん配合できません。

当然、カチオン化した美容成分も無理

塩のマッサージジェルなんて案件はありましたが絶対に無理

ジェルのベースができても、添加剤を入れる選択肢が少ないんですよね。

もちろん少ない量であれば、多少影響があるかもしれませんが全然問題ありません。

ジェルとイオン性の成分は粘度を壊すという事ですが、角質ジェルは例外となります。

角質ジェルは変わった処方でして、「失敗から生まれた処方」とも言われています。

活性剤を使いますが、トリートメントとかでしか使用することが無いカチオンの活性剤を使います。

これ組み合わせると、中和されて増粘しジェルになります。

ケラチンなどのタンパク質と反応するのか、塗るとカルボマーが凝集してカスみたいになるという

オモシロ処方なんですね。

なんだかんだ言って一番人気

最近は「さっぱり」が好まれるのか、ジェルはやはり根強い人気がありますね。

処方化もスケールアップ(量産化)も比較的簡単なので

技術力が無くても開発や製造が可能です。

本質的には化粧水が固くなったようなものなんですがね。

若い方やオイリー肌の方、別途乳液やクリームをやられる方に合うと思います。

乾燥肌とかで十分な保湿が必要な方であれば、油をある程度含むクリームをお勧めします。

現在アルコール消毒製品の需要過多により、

カルボマーの原料も品薄となっております。

メーカーより各工場において、前年度実績分以上の量は出せないという規制がかかっております。

こんな状況は前代未聞です。

まとめ

●増粘剤でよく利用される成分のカルボマー

●化粧品でよく使われる増粘剤は植物性のものがあるが、

カルボマーとは増粘の仕組みが違う。

●カルボマーの増粘する仕組みは2段階のプロセスがある。

水にある程度分散して給水している状態(一次膨潤)

アルカリで中和して電気的反発が起き急激に増粘する(二次膨潤) 

●同じ固さに対して、2~3%と多くの原料が必要な植物系の増粘剤に対して、

0.3~0.5%と少量で粘度が出せるため、使用感に原料の性質が影響しない。

●pHの変化や塩分の高い原料、イオン性の原料との相性が悪く、

エキスや有効成分などの添加剤を多く配合できないので処方の展開が難しい

●なんだかんだ言っても、水っぽくさっぱりのジェル製品は人気が高い。

 

 

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