ヒト幹細胞エキス系の化粧品ってどうなの?  とある処方開発者の考えを述べる 

最近よく見聞きするヒト幹細胞エキス系化粧品

「幹細胞」って万能細胞??

そんな成分が入ってる化粧品だったら

皮膚が再生??  老化した肌がよみがえり??

めちゃくちゃ美容効果が期待できそう・・・・

すごく期待感が満載の印象をもちませんか?

実際のところどうなのでしょうか。

正直、現時点ではあまりお勧めできないのが私の意見

SNSを見ていると、同じような意見を持っている人も少なくないようです。

今回は話題の幹細胞美容について語ります。

<記事の内容はあくまで個人の見解です。また、すべての商品に言えるわけではありません>

細胞の画像Colin BehrensによるPixabayからの画像

ヒト幹細胞系のエキスってどんな成分?

簡単に言うと、ヒトの細胞を培養して得られる培養液から

余分なものを取り除いたエキスって代物なんですね。

よく言われる話が、細胞そのものを含有しているわけではないというところが

重要なチェックポイントですよね。

細胞を培養するためには様々な栄養成分が必要になります。

また、細胞の代謝によって生成する成分などが含まれる可能性がありますね。

このような点から、この原料の特異性があると言えると思います。

培養液ではないけど、

生体系のエキスといえば、「サイタイエキス」や「胎盤エキス(プラセンタ)」が思いつきます。

これらも美容の効果があると言われますが、

その根拠としては、含有される栄養成分に起因するということです。

ヒアルロン酸や各種アミノ酸といった栄養成分が含まれ、それが効く・・・

幹細胞の培養エキスも「似たようなもの」というイメージが私にはあります。

「幹細胞」って単語が売り文句

「幹細胞」

この単語は高校の生物学あたりで習うと思います。

どんな組織にもなりうる未分化の細胞・・・

もっと厳密に詳しく知りたい方はこのサイトが分かりやすいかも。

 

これだけで見ると、皮膚の組織がよみがえったり、若返ったり・・・

そんなイメージが湧いてきませんかね。

でも実際の成分は細胞の「培養液」です、

幹細胞そのものではないんですね。

化粧品に誰かの細胞が入ってたりしたら、逆に気持ち悪い気もします。

再生医療にも幹細胞が注目されますが、

そのたぐいの効能だったりすると化粧品の範疇を超えるので

法規に違反するシロモノとなるのです。

そんな神がかったモノでもないでしょう。。。

すごくイメージが先行したネーミングのように思えます。

いろんな見地から、製品で謳われる内容については様々な疑問が出てくるのではないでしょうか。

とある化粧品技術者の経験談では・・・

ツイッターでも何回かつぶやきましたが

業界でもやはり注目されている素材となっており、問い合わせも多くなっています。

ただ、原料としてきちんと取り扱っているメーカーさんが少ないのが実情です。

様々な化粧品原料を取り扱う商社さんで、実績のあるメーカが作る物ならば

ある程度信頼がおけるし、利用者の立場からも検討の余地はありますが、

企画先からの持ち込み原料で

これを1%配合して、良い感じのローションを開発してください

みたいな事を言われるわけですね。

製剤は考えますが、どういう原料なのか分からないと、こちらとしては進められません。

幹細胞エキスの原料として、提案用の資料や規格、MSDS、あとメーカーの情報といった

内容の提示を求めるのですが、十分なものが出てきた試しがない。

 

以下、私の憶測になりますが、

幹細胞の なんやら を持ってくるところは、化粧品の原料を作ったことが無く、

ただ幹細胞の素材を化粧品に使ったら・・・・ウフフ  みたいな気持ちでやっている

ただ作ってみただけ

お金をちらつかせOEMに言えば、どんな原料でも使って、

商品を作ると思っているのかもしれないけど、

そんなはずないでしょ。

作るだけでも責任があるのですよ

最低限の責任感とモラルがある製造業者は、そう考えるはずです。

原料を使用するにあたり必要なもの。

基本情報、規格、管理方法・・・つまり安全性と品質の保証

そういう概念すら分かっていないみたい。

これ、幹細胞原料に限らない話なんです。

変な持ち込み原料、多かったりします。(●●な水、●●ハーブ、●●鉱石 etc)

オリジナルの原料を持ち込むところは、たいていそうなんですよ。

ただモノを販売するという考えしかないのでしょう。

ふわっとしたスタンスの小さな製造業者であれば安易に受けるのかもしれません。 ←注意!!

しかし、ある程度きちんとした企業では、そのような原料は採用しないんですな。

信頼性と信ぴょう性が無いうちは様子を見るべき

この手の原料は、はっきりとした情報が少なくまだ手探り状態だと思います。

美容の効果に対して、幹細胞系を全否定するつもりはありません。

ただただ、

解らなくて、怪しい・・・といったところ。

それなりの根拠があるのであれば、近いうちに大手の化粧品企業が採用すると思う。

その時にはきちんとしたエビデンスや安全性の情報を提示する事でしょう。

検討するのはそれからでも遅くはないですよね。

この原料はものすごく高価なものが多いと聞きます。

売価にも当然乗ってくるので、数万円クラスの化粧品が多いのかな・・・

こうなると、逆に安く売っているものが怪しくも見えてきますな。

業界のプロとして思うことは

キロ数百万や数千万円の高額な原料を取り扱うのはかなりのリスクになります

商品開発のリスクや販売のリスクですね。

試作するだけでも莫大な経費が掛かるわけですし

失敗のリスクを抱えながらスケールアップでの試験製造なんて、

小さな会社で出来るわけもなく、

商品を作って売って、仮に売れなかったら大赤字

簡単に進められる案件ではないのです。

まともな話だったらね。

企業ブランドの質を判定する機会かも

当サイトは「化粧品の選び方」という旗印でやっておりますが

具体的な商品の提示ではなく、賢く選ぶために化粧品の事を学ぶための情報提供を趣旨としています

商品を選ぶ上で大切なポイントの一つ

企業や製品ブランドに対する信頼性の見極めについて

怪しいものを扱い、変な方法で販売する業者の商品は避けるというのは道理です。

で、怪しさ満載の幹細胞系コスメについて語りましたが、

このようなちょっとよく分からない商品を高額で売る場面を見つけたら

その販売者や製造者をマークしておくのもいいかもしれません。

他の商品についても慎重な判断が必要になると思いますので。。。

後、ハズレ騙しをつかまされないようにするためにもねっ

エイチホルスタイン社が販売する幹細胞原料

幹細胞の原料で取り扱いのある会社があります

私たち化粧品メーカーもよく利用する原料商社さんの商品としてご紹介しておきます。

商品名:SC Liposome Solution 10% 【SC リポソーム ソリューション】

メーカー:Biosolution (韓国の企業)

販売代理店:エイチ・ホルスタイン社

原料の成分構成は次の通り

BG
ヒト脂肪細胞順化培養液エキス
(クエン酸/乳酸/リノール酸/オ レイン酸)グリセリル
オリーブ果実油
ポリソルベート 60
1,2-ヘキサンジオール
カプリリルグリコール
トロポロン

この原料は私の方でも取り扱ったことがあります。

ホルスタイン社はこの他にも数多くの化粧品原料を取り扱う企業ですので信頼できます。

いろんな所で出回っているちょっと分からない原料とは区別しておきたいですね。

化粧品でこの原料を採用されている製品は、上記の全成分の内容で判別できると思います。

原料の価格も一般的なので、高額商品でなくとも配合が可能のはずです。

幹細胞系化粧品を試してみたい方は、この原料の製品をオススメします。

参考にしてみてください。

 

 

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