よいシャンプーの選び方 その性質を理解してシーン毎で使い分けが必要です!

女性がシャンプーをしている画像

皆さんはシャンプーに要求する点ってなんですかね。

髪に良い。頭皮に良い。低刺激。使用感、仕上げ感。いいにおい・・・

シャンプーは洗浄系の化粧品なわけですが、

端的に言いますと洗浄とケアは両立は難しいというお話です。

また、頭皮の洗浄と頭髪の洗浄とは区別して考える必要もあると思います。

頭皮に対しては余分な皮脂や角質の除去

頭髪に対しては余分な成分の除去、そして仕上がり感

それぞれ必要な効果は違い、相反する関係性があります。

シャンプーの選び方や使い方については、少し考える必要がありそうですね。

それでは具体的に見ていきましょう。

シャンプーを構成する成分

シャンプーって処方はどういう構成なんでしょうか。

まずは基本的な構成成分と性質・目的についてそれぞれみてみましょう。

洗浄剤

界面活性剤ですね。水の次に配合量が多い成分じゃないでしょうか。

活性剤っていろんな種類があって、例えば電気的性質で分けると次の4種類ですね。

陽イオン(カチオン)プラストリートメント、コンヂショナー
陰イオン(アニオン)マイナスシャンプー、ボディソープ
非イオン(ノニオン)イオンにならないシャンプー、クレンジング、乳化・可溶化
両性プラスとマイナスシャンプー、ボディソープ

この中でも、カチオン活性剤は髪にくっつくのでシャンプーにはあまり使われないと思います。

泡立ちや刺激・髪への負担・保湿性等を考えて成分・原料を選定します。

 

ところで・・・

石油系界面活性剤は良くないという風評があります。

「石油系」って何なんでしょうね。

この言葉、私はキライなんですけど、、、

アカデミックにはこんな分類はありません。

成分に対して優位性・差別化をつくるために業界が勝手に作った造語です。

○○系活性剤とかいう広告表現があります。

この分類も造語でして、各社で定義がイロイロで曖昧です。

ひどい場合は間違った認識で書かれていることもありますね。

ですから「○○系」みたいな言葉にはあまりこだわらない方がいいかもしれません。

他にもアミノ酸系がいいとかベタイン系がどうのとか話があがりますが

製品ごとの特長は私用する原料でも変わります。

成分の特徴を理解して製品を選んでいく事が重要だと思います。

増粘剤

シャンプーがシャバシャバだとすぐに流れてしまい使いにくいので、

適度にトロミをつけたりします。

あとリッチ感が欲しい時に、ドロッとしている方が良いですよね。

中国のお客さんなんかは、粘度が高い方が濃くてお得感があり受けるそうです。

シャンプーの場合、化粧水や美容液のようにポリマー(ゼラチンみたいなもの)とかで粘度を出すのではなく、

主に活性剤のミセル形成で固くする方法がとられます。

ちょっとイメージつかないかもしれません。

簡単に言うと、いろんな活性剤を混ぜるだけで固くなる性質があるので

そのバランスで必要な粘度の処方を組んでいくという事です。

他にはガム系のポリマーを使うことがあるようですが私はしないのでよく分かりません。

強引であまり良い方法ではないですね。

ポリマーは別の意図で使用します。

粘度はほとんどパフォーマンスと言ってよいと思います。

粘度が低いシャンプーが薄いとか悪いという事では無いので知っておいてください。

トリートメント剤

シャンプーは洗浄が目的だと言いましたが、洗ってるとき、洗い流したときに

手グシの通りが悪くキシキシだと、よくないですよね。

それを回避するために、洗った時に髪にくっつけてコーティングされる成分を入れます。

それにはカチオン化ポリマーが多用されます。

成分の表示で言うとポリクオタニウム-10とかですね。

あと先程のシャンプーの増粘にも寄与します。

これはプラスに帯電した(マイナス属性の髪にくっつく)高分子の成分です。

定説な配合量で使用感が良くなります、

シャンプー原液では溶解状態にあり、すすぎなどで溶液濃度が薄くなることで

析出し皮膜を作るという面白い反応を応用してます、(コアセルベート)

注意したいのは、

悪い処方だと必要以上に多く配合されており、髪がベトベトになったりします

お客さんには、「シャンプーだけで髪をサラサラにさせたい」とか、

難しいことを言う方がおられます。

困った技術者が安易にコーティング剤をたくさん入れることがあるみたい。

このケースでは、次に処理するトリートメントやコンディショナーの乗りが悪くなります。

ビルドアップ(蓄積)による弊害も大きいでしょう。

さらに、頭皮に対しては、一切残したくない成分ともいえます。

 

次に油膜系ですね。オイルシャンプ-とかシリコン入りがそれにあたります。

髪にくっついて油膜を作ることで仕上がりをよくします。

我々からすれば「油」ってシャンプーにはあまり入れたくないんですよ。

フライパン洗う時に最初洗剤つかっても泡たたないでしょ

活性剤って油と水の接着剤みたいなものなんです。

さらに水に対しては張力を無くす性質があって、泡泡にする性質があるんですが

最初から油なんか混ぜると活性剤がそっちに取られてしまうんですよ。

泡立ち悪くなってしまうんで、さらに活性剤入れて余計な分を補う必要が発生するわけです。

活性剤は皮膚には害なので、必要以上に配合されてるものは良くありません

あと、頭皮に対しても油を必要以上に付与するのは毛穴を塞ぐのでマイナスですね。

頭皮、髪に対する美容成分

美容成分は様々ですね。

頭皮に良いものやら髪に良いものやら製品コンセプトに合わせていろんな製品があります。

結局洗い流すのにエキスとか入ってて意味があるのか・・・・

答えとしては意味が全くないわけではない。。。です。 多少残ります

頭皮に対しては、皆さん指先でごしごしやりますよね。

成分が入っていたらちゃんと頭皮に塗りこまれます。

ただ、そのあとすすぎをするので一緒に流れてしまうのは仕方ないです。

髪に対しても同じことが言えます。

しかし頭皮よりは成分が残りやすいと思います。

顕微鏡とかで髪を見ると、魚のうろこみたいに形がギザギザしてるんです。

ギザギザの部分に成分が挟まったりしてある程度残ったりします。

ただ、髪と電気的に反発するようなもの(アニオン性)は、はじかれるのであまり残りません。

よくない処方ではアニオン性の美容成分を安易に添加してます。

でもシャンプー自体はアニオンの活性剤がメインなんで、アニオンの成分は相性いいんですよ。

先に話したカチオンのポリマーで美容成分をトラップするという理屈もたまに聞きます。

アニオンにカチオンを一緒に入れると、くっついちゃって沈殿したり溶けなくなったりします。

シャンプーの処方はコアセルベーションとか、物理的な面白い現象が応用されていて面白いです。

ちょっと専門的になるので、機会があればご消化させていただきます。

 

次にコストの話をしますね。

シャンプーは基礎化粧品なんかより中身の量が多いじゃないですか。

クリームとかだと30gとか50gなのに対して、シャンプーは300mLとか700mLですよね

量が多いと処方の単価(原料の費用)をあまりかけられないんですよ。

一方で美容成分の原料は高価なものが多いのです。

ということで、価格の安いシャンプーで裏面に成分がたくさん書かれているものは、

配合量が少ないものが多いと推測されます。

大手の製品で「〇〇シャンプー」という製品名称なのに、〇〇の配合量が微量の商品があるそうです。

〇〇の原料をおさめてる原料メーカーさんが辛そうに愚痴ってたのを聞いた事があります。

偽物探ししても難しいですしね。

それよりシャンプーは洗うことが目的なので、

美容成分にはあまりこだわらなくてもいいかもしれませんよ。

安定剤

防腐剤、キレート剤、抗酸化剤など、製品が腐ったり酸化したりしないように保つための添加物ですね。

防腐剤、これ必須です。

入れてない製品とか、逆に良くありませんので注意してください。

シャンプーってお風呂で使うじゃないですか。

他の化粧品とかと比べても汚いものが中に入りこみ易いんです。

あと湿度や温度が高くなる環境なので、カビや菌が増えやすく

基礎化粧品とかよりの防腐の設定には気を付ける必要があるんですよ。

シャンプーで菌が増えているかどうかなんて、お客さんが見た目ではわからないんですよ。

見た目大丈夫なのに、分析したらばい菌だらけなんてこと、十分ありうる事なんです。

防腐剤はきちんと入っているものを選びましょう。

キレート剤も菌の対策として配合したりします。EDTAなんてのがこれに当たります。

パラベンはシャンプーの防腐が苦手なので、フェノキシやキレート剤も入っているものを私はおすすめします。

チアゾリノン系を入れておけば防腐については安心できるんですが、

キツイ成分なので今後は採用されなくなってます。

酸化防止剤は活性剤が油の性質を持っており、酸化して変な臭いになるので配合する可能性が考えられます。

これはあまり気にする必要無いと思います。

シャンプーの使い方で厳重注意!!

シャンプー使ってて最後ポンプで出なくなった時に水増しする人、いますよね。

あれ、やらないでください。

水で薄めて使い切るならいいです。薄めたものを次の日、また次の日、使うのはダメです。

ここまで読んでもらったら理由は明白。雑菌だらけっすよ。

あと、詰め替え用のものも注意してください。

容器は洗って十分に乾燥してから新しいものを充填してください。

容器が汚れてたり湿ってて放置したら雑菌がいっぱい

そこにシャンプー入れて数か月間使用したら・・・・

防腐が十分な製品なら大丈夫かもしれませんが、最悪な場合は培養液で頭洗うことになります。

容器でどうしても菌が気になる人、オススメの方法があります。

プラスチックの容器でしたら洗った後に乾かしてから

蓋をせずに電子レンジで5秒、温めてください

ソニックにより滅菌されます。

容器の種類によっては破損の可能性があるので自己責任でやってくださいね。

 

着香剤

香料とか精油が該当します。

文字通り臭いをつける目的で配合するものですね。

頭髪系って香水と同じで、カオリモノに入るんですよね。

皆さんにとっても香はかなり重要なんだと思います。

結論、ご自身が好きな香りのモノを選んでください。

次に迷うのは、無香料とか、エッセンシャルオイルが良いものとかって話でしょうが

香料が入ってるモノの方がいいと思ってます。

精油が悪いってわけじゃないんですが、あえて言うと不利なんですね。

精油はすごく高い原料なんです。シャンプーのコストが上がります。

原料の質も産地や季節により安定しません。1年もすれば香が飛びます。酸化もします。

香料より香が弱いので、使っても満足できないかもしれません。

かといって多く配合すると、油なんで洗浄力が下がったり、コストもさらに上がったり・・・

一方で香料はいろんな香が調合で作れます。

バリエーションが多いのでお客さんの選択肢が増えます。

ラベンダーとかオレンジみたいな、花やフルーツだけでなく、

甘い香り、すっきりした香り、リラックスする香り、見たいな抽象的香りもつくれます。

余計な話かもしれませんが、私は精油至上主義も好きではありません。

イメージが良いだけで実質的なメリットがほとんど無いからです。

シャンンプーの選び方

シャンプー処方の特徴を見てもらうといろいろと見えてくるところがあると思います。

皆さんそれぞれどの点を重視するかで選ぶ製品が分かれると思うんです。

個人的にオススメするのは、シャンンプーは洗浄目的、

頭皮を洗うスカルプケアとして、

ビルドアップなどによる髪の状態をリセットするヘアケアとして

それぞれのシーンで妥当なものを選ぶのが良いと思います。

髪の仕上げはトリートメントやコンディショナーがメイン。

シャンプーにオイルやシリコンってあまり要らないと思います。

セッケンシャンプーみたいに、もろに洗浄メインのものもあります。

髪はキシキシになります。

リセットとしては良いのかもしれません。

その後でトリートメント等でケアをするといいと思います。

ただ、洗浄剤としてはあまりにも強いものは髪や皮膚にダメージを与えます。

ラウリル硫酸Naとかもそうですよね。

かなりの脱脂力が見込まれ、タンパク質変性の影響により刺激も強い。

乾燥肌や肌が弱い方は、アミノ酸系が比較的マイルドです。

しかし、原料によってはアミノ酸系よりマイルドなものがあるのも事実。

エーテルカルボン酸系の洗浄剤でそのようなデータがあり、アミノ酸系と組み合わせて設計したりします。

アミノ酸系のみとかじゃなくて、いくつかの活性剤を組み合わせて

バランスよく組んだ処方の製品がマイルドで洗浄もできるものだと思います。

美容成分・有用成分についてはスカルプの観点から選ぶといいです。

おすすめは育毛系、抗炎症・抗刺激系になります。

グリチルリチン酸は万能ですね。

育毛剤で利用されるセンブリ、ニンジン、トウガラシといった生薬系

ビタミン類の血流促進系、ロイヤルビオサイトは抗刺激の効果がありオススメ。

香は好きなもの選んでください。精油である必要はありません。

どれが正解か、こればかりは使ってみてもらわないと分かりません。

基本的に化粧品はそういうものです。個人で相性が違います。

ただ、正解を見つけやすくする為にも、化粧品の成分や処方について

理解を深めることは重要なんじゃないかな。

オススメ

有名な「ボタニスト」ですが、使用した感じがよかったです。

成分を見ても比較的マイルドな構成に仕上げていると感じます。

アミノ酸系をメインにベタイン、高級アルコール系を組み合わせて

洗浄力をカバーしていると思われます。

これにより泡立ちも合格点

なんといっても香りの選び方がウマイですね。

比較的一般受けしやすい香りを採用されていると思います。

今までもいろんな香りで出されていると思いますが

これもブランドの特徴と言えるでしょう。

植物エキスの効果には期待したいですね。

価格もお手頃なのでオススメします。

 

 

 

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