化粧品で皮膚トラブルが起きた場合について

今回は化粧品を使用して肌に問題が生じた際、

どうしたらよいかについて考えてみました。

万人に合う化粧品は残念ながらありません・・・・

化粧品は相性が悪かったりすると、皮膚トラブルが発生します。

企業はそういった問題に対し、どのように向き合うのでしょうか。

今回お話する内容は私の経験上得た知識に基づく考えです。

各社で対処法や考え方、具体的な評価についてはあると思います。

あくまで私個人の意見になりますが、参考にしていただければ幸いです。

困ってるヒトの画像

化粧品開発に必須項目  安全性評価

商品を開発する上で考えること。

それはユーザーのニーズですよね。

求められるのは良いテクスチャ、効能効果、趣向性に沿う事、製剤の安定性・・

必要な項目の中でも最も重要で大前提となるのが安全性です。

当然の話、他の面でどんなに秀逸な製剤があったとしても、使用することでトラブルが付きまとうものは

商品として成り立ちませんし、薬機法にも逸脱するものとなります。

我々はまず第一に安全であることを前提として製剤を設計します。

評価方法は各企業によって様々だと思いますが、

基本的な考え方について説明してみますね。

まずは原料ベースで安全性を担保されているものを使用することになります。

判断の基準としては各公定書に掲載される規格の範囲内のものかどうか・・・というところですね。

公定書というのは規格集のことで、化粧品で基本ベースとなるのが医薬部外品原料規格

いわゆる「外原規」というものになります。

ほかにも局方食添などの規格も信頼できるので、そういった規格の範囲に入る原料を使用することで

安全な原料を使用する前提とできるわけですね。

また、原料メーカーから発行される安全データシートも参考にします。

新しい原料などは公定書に収載されない成分になるので、各原料メーカーによる

安全性評価のデータを参考に使用方法を判断します。

原料を組み合わせて製剤化することで、さらに別の確認が必要になります。

ここからは新たな複合成分として、肌に悪さをしないか確認する必要がありますよね。

実際に肌で治験を実施するのが最も合理的で確実な方法です。

処方者はそれを自身で確認し、社内モニター、外部試験によるモニター、サンプリング調査等から

得られる情報を参考にして評価を実施します。

細かい手段、判定基準は各社でそれぞれかと思いますが、やっていることはだいたいこういう感じ

になるかと思います。

メーカーの相性問題についての考え方

もしも製品で肌トラブルの問い合わせがあった場合・・・

まずは皮膚障害の重症度を見ますが、軽微な皮膚トラブルの場合が多く、

「ヒリヒリする」「少し赤くなった」といった症状は相性の問題だと思われます。

次に、その製品で同様の問い合わせが来ていないか、

どの程度同じ問題が発生しているかで対応を判断します。

製品出荷数に対する発症数で、発症割合が高いかどうかで相性問題なのか、

製品の特長による問題なのかを判断することになります。

相性問題と判断した場合は個別に発生した特例とみなし、

お客様には使用をやめていただき、返金や代替品のご提案という対応になるかと思います。

発症率が高い場合は、製品自体に問題があるという判断になります。

回収するかもしれませんし、次回製品で改善するという対応になるでしょう。

重度の問題が生じた場合はどうでしょうか。

私の経験ではそういった事例に直面したことはないのですが、

発生率が低かったとしても製品を回収して、改善する必要があると思います。

たとえ少数に対してでも、「」になりうる製品を市場に出し続けるという判断は

誰にとってもさすがに理解に及ぶところではないでしょう。

お客様には病院での治療を受けていただき、回復まで最大限の補償を受けて頂くことになるかと思います。

原因がアレルギーだったとしても、被害が出た時点で製品の販売について考えるべきだと思うのです。

各社の考えはどうなのでしょうね・・・やはり発症率で決めるのかな。。。

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化粧品の相性問題については、ユーザーの方々からも多くの理解を得ていただき、

業界人の一人として恐悦至極に存じます。

化粧品で相性問題が生じた場合、皆さんはどうされてますか?

「あら、合わなかったみたい。残念!! ぽいっ」

モノには相性がありますよと言っていますが、それが当然なんだというスタンスを

私は持ち合わせておりません。

そのようなことが起きた場合は問い合わせしていただくことを強くオススメします。

そうすることで、様々なメリットがあると私は考えてます。

返金・代替品の交換による対応の可能性

自分に合うかどうかは使ってみないと分かりません。

テスターは参考になりますが、継続使用で問題が起こる可能性もあるわけで、

そういったケースに対しては企業側は最低限の誠意を示すべきですよね。

妥当な対応としては返品・返金して、別の商品を選択する機会を返上する

あるいは、同等の商品を代替として提案し、お客様の要求を満たす・・・

という事が言えると思います。

多分、こういった対応をしている企業さんが多いと思います。

是非とも問い合わせをしていただき、ご活用頂きたいと思います。

製品の刺激性について有益情報となる

相性問題をご連絡いただくことで企業側としても有益な情報となります。

問題を認識していないと商品を改善するきっかけにならないですからね。

我々は日々、より良いものを目指して製品の開発に取り組んでいます。

お客様からのご意見・情報は宝も同然。

ネガティブな情報であっても、扱い方次第で双方に多大な利益を生むはずです。

配合成分による刺激以外の隠れた問題がみつかるかも

相性問題があった場合、多くは含有する成分について、

肌に悪い影響を及ぼしたという予想がたてられることでしょう。

しかし、他にも様々な原因が考えられる可能性があります。

例えば、安定性についてです。

個人的に懸念するところは、菌による被害です。

化粧品には防腐剤が採用されており、腐らないように設計されていますが

その防腐レベル・評価方法については各社様々な考え方があります。

外見や臭いで特に問題なさそうな場合でも

検査をしてみると菌がたくさん出てくるケースがあります。

防腐の設計が十分でない場合はこのようなことが起きます。

それぞれの防腐条件に対して、保存効力試験(チャレンジテスト)を実施していない

商品は出荷後の汚染源に耐性がなく、問題が生じる可能性があります。

また、チャレンジをクリアしていたとしても

テスト外の特定の菌に脆弱性があり、たまたまその菌にによる汚染が生じた場合、

腐敗による肌への障害につながる可能性も否めないでしょう。

ちなみに私の会社では、トラブルの製品があった場合、

まずは菌の再検査を必須としております。

他にも経時による成分の劣化・変質によりトラブルの原因となった可能性です。

安定性試験を十分にしておけばこのようなことは起きることはないと思うのですが、

それについても100%断言できるものではありません。

対応の仕方によって企業の体質が分かる

問い合わせすることによって得られるメリット

多分これが皆さんにとって一番有益なんじゃないかと思ってます。

企業側の対応内容で、その体質を知ることができますよね。

真摯に受け止め、適切な対応をしてもらえれば満足いただけると思います。

さらなる製品価値や企業のブランド価値がそこから見出せることでしょう。

また、逆もしかり。

雑な対応や不適切、保身に回るような企業はよくありませんね。

私が知るとんでもないケースを一つご紹介すると・・・・

昔、ある企業で石鹸を販売していて、肌が荒れたり吹き出物が出来たり

クレームが多発したケースがありました。

それはその会社の看板商品で、使用方法などが独特でそれを訴求していたと思われます。

明らかに使い方が変だからそんな問題が起こるのだと個人的に思ったものです。

しかし、その企業の対応は

「できものが出るのは肌の悪いモノが出てきている証拠です。そのまま使い続けてください」

・・・・・・・・・・・

さすがに問題になったのでしょうか、今ではそのような対応はされていないようですが

こういったケースもあります。

企業の対応については是非とも参考としていただければと思います。

化粧品を選ぶ上で、企業の信頼性というのは重要なポイントですよね。

クレームのような機会でこそ、その体質が分かりやすく出てくるものなんじゃないでしょうか。

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まとめ

化粧品には相性があり、個人差で肌に合わないケースがある。

商品の性質で最も重要視されるのは安全性であり、原料ベースで評価され

製剤としても各社の基準で評価をして製品としている。

肌のトラブルがあった場合、症状の程度と発症率とを鑑みて、

製品の問題なのか、使用者との相性問題かを判断するケースがある。

軽微な相性問題に遭遇した際は、自己解決せずに問い合わせする方が

使用者と企業側双方にとって有意である。

商品のネガティブな情報は改善の動機へとつながる。また、気づかなかった問題の発見にもつながる。

クレームの対応内容で企業体質が分かり、信頼できるかどうかが判断できる。

 

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