不思議化粧品 発泡するモコモコパック

発砲するジェルパックってご存知でしょうか。

見た目はジェルですが、顔に塗りたくって放置すると

もこもこもこっ・・・・・あっ…泡がっっ・・・

勝手に泡が発生し顔中泡だらけ

洗い流すとお顔すっきりっ! って感じのオモシロ製品です。

今回はこの商品の仕組みについて紹介したいと思います。

Photo by Daniele Levis Pelusi on Unsplash  泡の画像

基本的な処方の構成

各社でいろんな製品を出されていますが

その中でもメジャーな処方例として想定します。

・基剤:水

・増粘剤:アクリル酸アルキル(C10-30)クロスポリマー

・湿潤材:グリセリン、BG、プロパジオールなど

・洗浄剤:デシルグルコシド

・美容成分:エキスや有効成分などの機能性原料

・各種安定剤

・揮発剤:メチルパーフルオロイソブチルエーテル   メチルパーフルオロブチルエーテル 

処方の構造はすごく簡単

まずは増粘剤ですが、先日ご紹介したカルボマーの仲間です。関連記事

この表示名所の原料は、比較的粘度が高く、塩やイオンに耐える性質があります

この処方ではこれを使う理由は

1)活性剤や揮発剤が入る分、溶媒の水の組成が少ないので固くしたい。

2)界面活性剤がたくさん入るので、耐塩・耐イオン性のポリマーを使いたい

って話になります。ちょっと分かりにくいかも。 流してください。

次に湿潤材と美容成分・安定剤。

これは普通に化粧品として配合しますね。

使用感の調製と効果・安定性を狙った目的になります。

洗浄剤として界面活性剤が入ります。量が結構多いです。

洗浄製品で利用されるのが多いですが、この処方では泡を出すために入ります。

ほとんどの処方でデシルグルコシドが使用されていると思います。

非イオンなのでジェルの膨潤を壊しにくいのと、比較的低刺激で発泡性が強い理由で

この成分がよく利用されます。

本来は洗い流して使用するような成分なのに、顔に塗ってしばらく置くという

皮膚にとっては過酷な使用方法に対して、できるだけ低刺激な洗浄剤が良いのですね。

最後にメチルパーフルオロ・・・  似たような名前の二つの成分

これが発砲に重要なカギなるのです。

この成分は超揮発性です。

液状の原料なんですが、室内に放置しておけばドライアイスのように気化してなくなります。

エタノールより揮発性が強いのです。

発砲する仕組み

処方と原料の説明を見ると、もしかしたらすでにイメージがついている方、おられるかもですね。

水ジェルに活性剤がたくさん入っているので、混ぜればかなり泡泡になるような状態。

そういうジェルに揮発性の高い成分が含まれていて、

そういうものを顔に塗るとどうなるのか・・・・

ジェルは塗り広げられるので、層が薄くなりますよね。 → 成分が飛びやすい

さらに体温が加わるので揮発性の成分が外に出ようとします。

揮発性の成分は水と混ざらない油のような成分です。

ジェルの中に細かい粒子として点在しています。

それがジェル中から表面に出ようとすると、ジェルの界面が物理的に崩れて

泡が発生するという仕組みです。原料情報

面白いですね。

泡パックの利点  洗浄と美容成分の浸透補助

この商品はちょっとした不思議な商品??程度としか認識がないんです。

簡単なので処方は組めるのですが、どういうメリットあるんでしょうね。

泡の出る仕組みが他と違いますね。

内側から発泡するなんて、普通に使うクレンジングや洗顔とは違った

洗浄効果が得られるのかもしれませんので、試してみる価値はありますね。

この処方では結構細かいモコモコの泡が出てきます。

処方上で揮発性の油を微粒子にして分散させて、その粒子が揮発して泡が立つわけですから、

細かい泡が作られるんじゃないでしょうか。

細かい泡は洗浄剤の機能を最も効率的に働かせる環境をつくります。

さらに、ジェルがベースなので泡膜も強いです。

パックとして使用するので、余分な皮脂や毛穴の奥にある部分まで届いて

通常の洗顔よりも良い結果が得られるかもしれません。

また、皮膚をこすらないので、摩擦による刺激が少なくお肌に優しい

低刺激な非イオンの活性剤は保湿の効果もあったりします。

 

次に、パックとして美容成分の浸透を助ける効果を見込んでいます。

健常な皮膚には、肌のバリア機能として油膜が存在します。

このバリアはスキンケアにおいて水性の有用成分の浸透を阻害する要素になります。

発泡パックを利用することで、入り口を適度に開けることで効果的に

美容成分を導入する可能性が考えられます。

パックの後はアフターケアでフタをしてやることを忘れずに!!

 

ところで・・・・同じような処方で「炭酸パック」というのがあります。

今回の処方は、フルオロエーテルが揮発する原理で発泡するものです。

炭酸を使用時に選択的に発生させるのは難しい技術になります。

炭酸を利用しなくても発砲パックは実現することが出来ます。

 

まとめ

●塗っただけで泡がモコモコ発生するオモシロパック

●基本的な処方構成のキーポイントは
・増粘剤:アクリル酸アルキル(C10-30)クロスポリマー
・洗浄剤:デシルグルコシド
・揮発剤:メチルパーフルオロイソブチルエーテル、メチルパーフルオロブチルエーテル
増粘剤は固め、イオンや塩に耐性のあるもの
洗浄剤は低刺激でゲルを壊さない非イオンが人気
超揮発せいのフルオロエーテル。これが発砲のカギ!

●発泡のシステムはジェルに活性剤をたくさん入れることで泡が立ちやすくする。
その中に超揮発性の油性原料を混ぜ込むことで
塗布時にジェルの層がうすくなり、さらに体温で揮発成分が
外に出ていくことで、界面が壊れて発泡する仕組み。

●泡パックのメリットは洗浄効果と美容成分の導入補助
微粒子の揮発で発泡させる独特な原理により、
普通の泡立てよりもキメの細かい泡が得られる。
皮膚バリアの油膜を弱らせてパックすることで
水溶性の美容成分を導入しやすくなる。

 

 

 

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