2019年に開催されたサイトジャパン(化粧品産業技術展)にて
肌の老化に関する新しい考え方とそれに対するエキス原料の展示がありました。
それは皮薄化です。
この言葉を聞いた時、詳細の説明を受ける前に何となく
「その話、感覚的に分かります!!」 って印象がありました。
年を重ねてシワができた方の皮膚って、厚みのボリューム感が薄いってのは想像がつきますよね。
皮薄化は真皮と表皮、それぞれで起こります。
今回はその中でも表皮の皮薄化に対した原料、
「スプリングミント」を取り上げたいと思います。
皮薄化(肌痩せ)
年齢を重ねるごとに肌が全体的に薄くなっていく現象を「皮薄化」と言います。
皮薄化による影響は、真皮ではシワやたるみの原因となり、表皮では乾燥(敏感肌)と、
多くの肌トラブルをもたらすことになるのです。
実際にどのようなことが起こって皮薄化につながるのか見てみましょう。
皮薄化を起こす原因
シワやたるみ、ハリの低下といった肌の老化現象は
真皮にあるコラーゲンなどの細胞外マトリックスの
分解が原因と考えられます。
マトリックスが分解された皮膚は薄くなり、
肌が痩せ細って見えるようになります。
最近の研究により真皮における皮薄化の根本原因は
表皮細胞が放出する細胞外ATPである事がわかってきました。
スプリングミントは、肌浅くで分泌される肌老化への初期因子である
細胞外ATPを抑制する働きが期待されます。
加齢した細胞では細胞外へのATP放出量が増大します。
「ATP」って習ったと思いますが、中学か高校でしたかな・・・覚えてますか?
アデノシン三リン酸って物質で、生体内でエネルギーをやり取りする物質のことですよね。
細胞外に放出されてしまったATPは刺激を伝達する因子となってしまうのです。
これにより刺激された加齢細胞は細胞老化因子を分泌(SASP誘導と言います)し、
周りの細胞たちを老化に導いてしまうのです。
これを受けた真皮の線維芽細胞たちはMMPなどのマトリックス分解酵素を分泌し、
真皮層のマトリックスを破壊してしまうのですね。 ホンマやめて欲しいぃ~
スプリングミントによる皮薄化へのアプローチ
以上の作用機序につき、2段階のプロセスにおいてそれぞれ確認した
実験及び、モニタ試験の内容と評価結果をまとめます。
メーカーの技術資料からの引用になりますが、具体的なグラフや画像のデータは
お出しすることが出来ませんので、簡単に概要だけご紹介したいと思います。
ヒトモニタによる初期老化症状の改善
自己評価でたるみや小じわなど肌の初期老化を感じている
30代から60代の日本人男女14名のモニターについて、
左右の顔面に1.0%配合スプリングミント配合ローションとコントロールを
それぞれ1日2回、4週間塗布してみました。
試験前後に皮膚内部の超音波画像を撮影及び皮膚弾力性(VE)を計測しました。
すると塗布したところはしていないところに比べ、肌弾力性は優位に向上し、
超音波画像でも真皮の厚みが向上していることが分かりました。
加齢表皮細胞から細胞外ATP産生抑制作用について
正常ヒト成人表皮角化細胞に0.1%スプリングミントを添加し、
24時間培養して培養上清中のATP量を測定したところ、
減少傾向にある事が確認できました。
これにより、スプリングミントはヒト成人表皮角化細胞が
放出する細胞外ATPを抑制する効果が見込まれ、肌老化を
早期から改善する性質が期待できる。
細胞外ATPによるSASP誘導抑制作用
正常ヒト成人表皮角化細胞をATPと0.1%スプリングミントを含む
新鮮培地にて24時間培養した後、培養上清中のSASP関連因子を
定量したところ、細胞外ATPの存在によりSASP関連因子の増大が
確認できましたが、0.1%スプリングミント添加によりその分泌量は抑制された
事が確認できました。
スプリングミントにより細胞外ATPの活性を抑制することが分かりました。
まとめ
専門用語とかでちょっと分かりにくかったかもしれません。
簡単にまとめたいと思います。
肌の老化は皮薄化による現象が考えられる
皮薄化は表皮と真皮で起こる
真皮の皮薄化はコラーゲンなどの細胞外成分が壊されることで生じる
スプリングミントは細胞外成分を破壊する因子の発動を二つのプロセスで抑制、
さらに使用によるモニタ評価では皮膚の厚み改善が確認できた。
以上の結果から皮薄化に対する改善が期待できる。
この原料は昨年6月の展示会でお披露目されたもので
まだまだこれからの素材なのです。
主剤の表示名称は「セイヨウハッカ葉エキス」と
ありふれているのでその化粧品で採用されているか分かりにくいですね。
商品の広告などで「スプリングミント配合」みたいなのがあったら、
皮薄化対策のアイテムになるかもしれませんので、興味があれば
是非お試しください。
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